2025.05.26

FURUMURA.J

  • 点群モデリング部門
  • #社員紹介

「現場を知っているから、図面にリアルが宿る」

施工管理から点群エンジニアへ。現場視点を強みに、図面の“使われ方”までを考える存在に 

前のめりでお話する古村さん

FURUMURA.J(古村 J)|点群モデリング部門 2023年入社

2023年12月入社。点群モデリング部門所属。派遣社員として施工管理業務に従事の後、アサノ東京へ入社し、2022年に新設された点群モデリング部門に参加。現在は、現場での経験を活かし点群による既存図及び施工図の作成業務を担当している。

点群で「現状を読み取る」

点群モデリング部門では、既存建物を3Dでスキャンし、施工図へと落とし込む業務を担当しています。専用の機器やドローンを使い、無数の点の集合体として現場をデータ化。そこから3DCADで図面として再構成していきます。この技術が特に活きるのが、リニューアル工事。古い図面と現場が一致しないケースが多く、従来は人が現場で目視して修正していましたが、点群なら短時間で高精度な3D情報が得られるため、作業効率も大きく変わります。

点群測定の専用撮影機でスキャニングする様子

点群測定の専用撮影機(右側)でスキャニングする古村さん。上部カメラ部分が、360度回転し、設備内部を瞬時にスキャニングする。

「これは現場で役立つ技術!」と直感したのが入社のきっかけ

前職は派遣で施工管理業務をしていました。やりがいはあったのですが、とにかく激務。そんなとき、担当していた現場にアサノ東京の点群モデリング部門が来て、点群撮影をしていたんです。それから、点群の技術を使えば、従来の計測や作図よりも効率的に現場の情報を収集できると知り、興味を持ちました。

業務内容について詳しく聞くうちに、「やってみないか」と誘われ、アサノ東京への入社を決めました。点群を用いた図面を見せてもらったとき、一見して、「これは現場で役立つ技術!」と感動したのを今でも覚えています。

まさかの引き継ぎなし!?先輩の退職と孤軍奮闘の日々

実は、僕を誘ってくれた点群業務の先輩が、なんと僕の入社と同時に退社してしまったんです。最初は「なんじゃそりゃ!」って思いました(笑)。当初はその方のサポートを受けながら徐々に仕事を覚えていくつもりだったので、まさかの展開に驚きましたし、最初は不安も大きかったですね。ただ、点群という技術そのものに大きな可能性を感じていたので、「辞めよう」とは思いませんでした。

その後は、メーカーや、ソフトウェア会社の方が操作について丁寧に教えてくれたり、周囲の支えもあって、試行錯誤しながら少しずつ仕事を回せるようになっていきました。

アサノ東京は、スケジュール管理も自分で行えて、自律的に動ける分、自由度も高く、更に僕自身インドア派なので、座り仕事も、何気に自分に合っていたようで(笑)。色々ありましたが、結果的に、転職して良かったと思っています。

点群は“問題解決型”の仕事。
「分析力」と「現場経験」が強み

今の仕事は、現場で取得したデータをどう読み解くか、その情報からどう図面を構成するかが問われます。現場での経験がある自分にとっては、構造や施工の流れを踏まえて判断できるのが強みです。単なるトレースではない“点から読み解く分析力”が求められる、頭を使う面白い仕事です。

点群測定専用カメラでスキャニングしたデータは、タブレットに転送され、即座に確認する様子

点群測定専用カメラでスキャニングしたデータは、タブレットに転送され、即座に確認することができる。

将来的には、現場経験がなくても点群図面を作成できるような技術革新が進むかもしれません。でも今のところ、現場を知らないと描けない領域であることは間違いないと思っています。たとえば、構造や設備の知識がなければ、3Dで再現された情報の中から「どこが重要で、どこを省略できるのか」を判断するのは難しい。だからこそ、現場の流れや施工の感覚を理解していることが、点群モデリングでは大きな武器になります。

黙々と作業をする古村さん

現場での測定以外は、オフィスで黙々と作業をするのが点群モデリング部門の仕事スタイル

コラム|点群スキャンで「現状を読み取る」とは?

点群って何?という方向けに、古村さんが分かりやすく解説してくれました。

設備のリニューアルは10年サイクル!だから、現状と当時の図面に食い違いが出る

設備のリニューアル工事は、通常10年に一度のサイクルで行われます。とはいえ、その間にも小規模な改修が繰り返されていることが多く、「設備の現状」と「既存図(既存の図面)」とがズレてしまっているケースは少なくありません。さらに、設備は全て壁の内側に隠すもの。人が立ち入るのが難しい場所も多く、現場の実態を正確に把握するのは簡単ではありません。

これまで目視で行っていた現状確認を、ほぼ無人で行える「点群スキャン」という技術

点群スキャンから3Dモデル化する様子

そんな時に活躍するのが、点群スキャンという技術です。点群とは、建物や空間をスキャンして得られる“無数の点の集合体”のこと。各点に位置情報があり、それらを3Dでつなぐことで、建物の現在の姿をそのままデータ化できます。これにより、目視では確認が難しい場所でも、正確かつスピーディに“読み取る”ことが可能になります。

点群モデリング部門の役割は、現場で本当に使える「現状図」を整えること

僕が担っているのは、この3Dデータをもとに、現場で本当に使える図面へと落とし込む工程。施工管理の経験を活かし、「これなら現場で迷わず作業できるか?」という視点で、膨大な点群データの中から必要な情報を見極め、整え、図面として仕上げていく——それが、点群モデリング部門の仕事です。

はじめて“手応え”を感じた倉庫改修プロジェクト
「これならいける」と思えた瞬間が、僕の転機になった

とある倉庫の改修工事で、既存設備の点群データをもとに施工図を作成したときのことです。入社して間もない頃で、右も左もわからないまま、とにかく手探りでモデリングを進めていました。でも、どうしても納得のいく図面が描けず、迷いと試行錯誤の連続でした。

それでも諦めずに試行錯誤を重ねた結果、「これなら現場で使えるはずだ」と自分なりに納得できる図面が完成しました。そして納品後、お客様から直接「良い図面だね」と声をかけてもらったんです。たった一言でしたが、それまでなかなか得られなかった“現場からの反応”を初めて肌で感じられた瞬間でした。

この経験が、自分の中でひとつの転機になりました。「こうしてひとつずつ超えていけばいいのかもしれない」そう思えるようになって、不確実な中でも、一歩ずつ前に進めるようになった気がしています。

真剣に話す古村さん

“納品して終わり”へのモヤモヤ。“その後”まで見届ける「点群の在り方」

最近よく考えるのが、「図面のその先にも関わりたい」ということ。点群業務は施工の初期段階であり、どうしても“納品して終わり”になってしまうことが多いんです。図面が実際に現場でどう使われたのか、どれほど役に立ったのか——その“活躍状況”(笑)は、なかなかこちらには届きません。もちろん、現場で本当に使える図面を目指して描いています。でも、それがちゃんと役に立ったのか、確信が持てないことも多い。そこに、もどかしさを感じることがあります。

工事部と相談する様子

工事部の相澤さん(左)と古村さん(右)

最近は、ウチの会社も、リニューアル事業の本格化にともない、工事部との連携も増えてきました。図面がどう活用されたかを点群モデリング部門も把握できるようになれば、より現場に寄り添った、実用的な図面づくりができるかもしれません。

点群の魅力を、もっと知ってほしい。

あと、僕はこの技術の魅力をもっといろんな人に知ってもらいたいと思っていて。お客様にとっても、技術者にとっても、まだまだ、認知が低いと感じているんです。

お客様には、まずは「こういう技術があるんだ」「こんなふうに活かされてるんだ」って知ってもらえると嬉しいです。まだまだ現場で働く多くの人にとっては「やっぱり既存図の確認は目視じゃないと…」って思ってる方もいると思うんです。でも、目視でなくても、きちんと現状確認していけると知って欲しい。この技術が一般的になれば、これまで目視で確認していた時間が大幅に削減され、時間に余裕ができる。時間に余裕ができれば、本来集中すべき業務に時間を割けるようになる。結果的には、設備や建物全体の品質向上につながると思うんですよね。それが、僕が現場で働いていた時に「現場で使える!」って思ったきっかけでもあるので。

また、僕のような技術者にとっては、施工管理や工事とはまた違う形で、確実に「現場を支える」ことができるのが、点群の仕事の魅力です。 僕もまだ、試行錯誤している段階なので、具体的な目標はありません。でも、点群データを活用した3Dモデリングは、さまざまな分野で活用できる可能性がある技術。今のうちに幅広い業務に携わり、技術を身につけておきたいと考えています。

この業務に“正解”はない。
でも、少しずつ見えてくる

僕自身、点群の仕事はこの会社が初めてですし、アサノ東京でも、点群モデリング部門が設立されて間もないからだけかもしれませんが…。この仕事には、「こうすれば正解」という教科書通りの基準がありません。今も「この図面、本当に使えるのかな?」と不安になることは多いです。感覚としては、水の中に手を伸ばして、何かを掴もうとしているような……そんな手応えのない状態の中で、模索しながら仕事をしている感じです。でも、案件を重ねていくうちに、「これかもしれない」という感覚が少しずつ見えてくる瞬間がある。だから今は、試行錯誤の毎日を大切にしながら、自分なりの答えを見つける時期だと考えています。

お客様と電話で話す様子

のんびりだけど計画的に。
オフの日の充実法

平日は家事を済ませたあと、ゲームをして過ごすことが多いです。殆ど家で過ごしていますね。点群の仕事に就いてから運動量が減って、体重の変化を実感するようになったので(笑)、最近は軽めの運動も取り入れるようにしています。

休日ものんびり過ごすのが基本ですが、何となく過ごすのではなく、きちんと予定を立てるようにしています。特別なイベントがなくても、計画を立てて過ごすだけで、気持ちの充実度が全然違う気がするんですよね。

これから一緒に挑んでくれる仲間へ

2022年に立ち上がったばかりの点群モデリング部門は、まだまだスタート地点にいる部署です。創設メンバーの一人として一緒に切磋琢磨できるような仲間が増えてくれたら、すごく心強いなと思っています。

 

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